蜂の羽音が
チューリップの花に消える
微風の中にひつそりと
客を迎へた赤い部屋
小鳥は
小枝のてっぺんに、
子供は
木かげの鞦韆に、
小ちゃな葉っぱは
芽のなかに。
あの木は、
あの木は、
うれしかろ。
水仙が駿河の山に重れる甲斐路の
雪の山めきて喚く
わたつみの底つ玉藻も
水仙の白きも点ず長濱の路
水仙は南信濃の山上の雪の味にも
かよふ香を吐く
船かへる藻屑と混る水仙に
云ふことのあるここちすれども
水仙は萎れし後も明星に
似たる蓋をばただなかに置く