私は雲に
なりたいな。

ふわりふわりと
青空の
果から果を
みんなみて、
夜はお月さんと
鬼ごっこ。

それも飽きたら
雨になり
雷さんを供
につれ、
おうちの池へ
とびおりる。

雲       金子みすゞ

太陽をひとつふところへいれていたい

てのひらへのせてみたり
ころがしてみたり
腹がたったら投げつけたりしたい

まるくなって
あかくなって落ちてゆくのをみていたら
太陽がひとつほしくなった

太陽       八木重吉

ぬすつと犬めが、
くさつた波止場の月に吠えてゐる。

たましひが耳をすますと、
陰氣くさい聲をして、
黄いろい娘たちが合唱してゐる、
合唱してゐる。
波止場のくらい石垣で。

いつも、
なぜおれはこれなんだ、
犬よ、
靑白いふしあはせの犬よ。

悲しい月夜   萩原朔太郎